プロローグ

人付き合いはもう必要ない

世の中にはいろいろな悩みがありますが、その多くは「人間関係」から生まれています。

世間を騒がせる事件やトラブルもほとんどがお互いの関係性の変化や悪化が原因です。
極端にいってしまうと、人と関わるから悩み、トラブルが生まれるのです。
もし、1日24時間、誰とも接することがなかったら、
私たちが抱えるストレスは相当に小さくなるでしょう。

実際に、こんな悩みや心配を抱えている人が多いのではないでしょうか?

・友達をたくさんつくらないと……。
・同僚と仲良くしなければ……。
・会社での飲み会には必ず参加しないと……。
・場の空気を読み、意見を合わせないと……。
・友達や仲間と一緒にいたくないけど、つるまないわけには……。
・人と会うときは、愛想よくしなきゃ……。
・気が進まなくても、誘われたら、合コンに行かないと……。
・親の決めたルールは守らないと……。
・ママ友付き合いをしなきゃ……。
・上司からの呑みの誘いは断れないなあ……。
・Facebookで「いいね!」と押さなきゃ……。

「こんなこと、悩みのうちに入らないだろ?」と思う人もいるでしょう。
でも、「こんなこと」が多くの人を苦しめています。

私は、人知れず悩みを抱えたまま苦しんでいた人間のひとりでした。
決して社交的ではありませんでしたし、
子どもの頃から友達と騒いだりはしゃいだりするのが苦手でした。

そして小学生の頃、親の借金で一家夜逃げした経験をきっかけに、人見知りとなりました。
その後、元々の性格であった内向的な性格から、人生で3度の「こもる」体験をします。

私のことは次の章でくわしく述べますが、そんな私でも、小学生でゲーム制作のビジネスをはじめ、
23歳で国内外に法人を設立(つまり、経営者になりました)、個人&企業のITコンサルティングで
流通総額2000億円を超える成果を上げることができました。

元引きこもりで、“人付き合いが苦手なくせに”です。

世間の人が思い描く社長像はどんなものでしょうか?
リーダーシップがあり、社員を束ねるカリスマ性もあり、プレゼンも営業も抜群。
「人たらし」で誰からも愛される明るい人物を思い浮かべるかもしれません。

残念ながら私は、そういう人間ではありません。

人と関わるよりも自分の時間を大事にします。
情熱的に誰かを口説いたり、酒を酌み交わしながらビジョンを確かめ合うこともしません。
でも、ここまで経営者として着実に歩みを進めています。

なぜでしょうか?
その理由を包み隠さずお教えします。

私は本書で「こもる」ことの大切さを書いていきます。

2015年1月 市村よしなり