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はじめに

「おい、今夜みんなで家を出るぞ!」

そう言って父が家族に号令をかけたのは、私がまだ小学生のころのことでした。
父は今でいう起業家で、30年40年前には21社ほど、会社の経営に携わっていました。
今でいうと1,000億円くらいの規模でビジネスを手掛けていたそうです。
その業種は多岐にわたっていたそうです。

「いたそうです」という、まるで他人事みたいな言い方を繰り返すのには理由があります。
私は父が、それだけ大きくビジネスを広げていたころを、あまりよく知らないのです。
私が物心ついてからは、父はいつも借金に追われていました。
借金取りから逃げ惑う姿を見たことも、一度や二度ではありません。

そして、あるときついに、冒頭のような号令がかかりました。
あたりが寝静まった頃、父のワゴン車にできる限りの家財道具を積み込んで、出発です。
それはなんだか、まるでちょっとドライブにでも出かけるかのような気軽な旅立ちでした。
しかし、もう帰る家はありません。家族がみんな一緒だったとはいえ、
私は小学生にして、住む家を失ってしまったのです。

そのことが、私に大きなチャンスを与えてくれました。

普通に考えたら、父親の借金で夜逃げなんて、逆境以外の何物でもありません。
まして、当時私は小学生。これから先がどうなるかわからない中で、
不安にただ翻弄されてもおかしくなかったのですが――

私は、この夜逃げを転機に「起業」したのです。

小学生の分際で起業? と、驚かれる方もいらっしゃるでしょう。
いえ、驚いて当然だと思います。会社を興したわけではないので
「起業」という言い方は正しくないかもしれません。
正しくは、小学生ならではの発想でビジネスをスタートさせたのです。

まず、カブトムシの幼虫を集めて成虫にして売ったり、
マムシを一升瓶に捕まえて売る、というようなことから始めました。
まさに当時、食うに困って雑草を食べるレベルのサバイバル生活でしたから、
そんな環境の中でもできることは何か…ということを、
子供ながらに真剣に考えた末でのビジネスだったのです。

また、かろうじて持ち出した家財道具の中にパソコンがありました。
以前からプログラミングに熱中していた私は、
プログラムを作ってゲームにして売るということも次第にスタートさせていきました。

生活していくため、食っていくため。自給自足というには余りに過酷な環境の中で、
私はさまざまなアイディアを生み出して、なんとかして命をつなげてきたのです。

腹を空かせ、寒さに震えていた当時は、
夜逃げをするような事態を生んだ父を軽蔑の眼で見ることもありました。
しかし、あの経験があったからこそいまの私がいます。

逆境に負けずさまざまなアイディアを生み出せたのも、
もともと父が多種多様なビジネスを展開していたおかげで、
小さいころからさまざまなビジネスパターンに触れていたことが
大きく影響しているのではないかという気もしています。

今の私は、ネット通販で100万人の顧客を抱え、著書の売り上げは15万部。
個人と小企業のITコンサル流通の総額は2000億円を超えていますが、
そのルーツは間違いなく、あのサバイバル生活の中にあったと言っていいでしょう。

現代は不確実な時代と言われます。

超有名な大手企業が突然倒産したかと思えば、数年前まで影も形もなかったような
サービスが世界中で大ヒットしたりする時代です。
そんな今だからこそ、私は自分が手掛けてきたようなビジネスを生み出すもとになった
さまざまなアイディアがどのように生まれたのか、まとめておく必要があると感じました。

私が、生き延びるために取り組んださまざまなビジネスのアイディアのエッセンスを、
この電子書籍をお読みいただいた皆さんに、感じ取っていただければとてもうれしく思います。

市村よしなり

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